個人再生について
個人再生は住宅ローンを含めた多重債務に苦しむ個人に対して、マイホームを維持しながら経済的に立ち直るための法的な債務整理の方法として平成12年11月に施行された新しい法律です。
任意整理と特定調停は、原則として借金の元金は分割で返済していかなければなりませんし、自己破産はまったく借金はなくなりますが、財産もすべて失うことになってしまいます。
財産をまったく持っていなければ自己破産を選択すればよいのですが、マイホームを持っていて、どうしても手放したくない場合には、他の方法を考えなくてはなりません。
任意整理と特定調停では、借金の元金は返済していかなければなりませんので、住宅ローンを含めて返済をしていくことは実際には難しいでしょう。
しかし、個人再生を選択できれば、住宅ローン以外の借金を圧縮することができますので、充分に住宅ローンを返済しながら残った借金を返済していくことが可能になります。
個人再生に関する手続きを司法書士に依頼した場合には債権者からの取り立てを止めることができますし、債権者との交渉もする必要がありません。また、個人 再生の手続きでは各種書類の作成に専門的な知識が必要になりますので、事前に司法書士に相談し個人再生手続きの依頼をされることをお勧めいたします。
個人再生のメリット
取立行為の規制
弁護士・司法書士(簡易裁判所代理権の認定を受けた者に限る)に依頼した場合には、その時点で貸金業者の取立行為が規制されます。
返済のストップ
弁護士・司法書士(簡易裁判所代理権の認定を受けた者に限る)に依頼した場合には、その時点より個人再生成立まで返済する必要がなくなります。但し、裁判 所によっては返済原資のストック及び長期返済が可能かの確認として一定額の積み立てを求める場合があります。
債務元本の大幅な減額
元本を大幅カットし、原則3年の分割払いで返済します。
住宅を残す事が出来る
一定の要件を満たせば、住宅を手元に残す事が出来ます。住宅ローンの元本はカットされませんが、支払い期限を猶予してもらう事が可能です。(最長10年・70歳まで)
職業の制限がない
個人再生には、自己破産のような職業の制限がありません。
免責不許可事由に該当しても可
「浪費やバクチによる莫大な借金」などの免責不許可事由に該当しても個人再生を利用できます。
債権者全員の同意が必要ない
個人再生では、
①給与所得者等再生:債権者の同意は全く不要。
②小規模個人再生:債権者の消極的同意(債権者の総数の半数未満で、かつ、総債権者額の1/2以下の者が、反対しない時)があればよい。
となっており、債権者全員の合意がなくても強制的に債権者に再建計画を認めさせる事が出来ます。
個人再生のデメリット
信用情報機関への掲載
信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録されるので、目安として5~7年間は本人名義の借金やローンが出来なくなります。銀行のキャッシュカードはもちろん作れますので、金融機関からの振込みや引き落し等は通常通り行う事が出来ます。
個人再生の手続きの流れ
検討 | 多重債務により支払いができなくなり個人再生を検討します。 |
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依頼 | 司法書士に個人再生に関する手続きの相談および依頼をします。 |
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債務者リスト作成 | 依頼人に債権者のリストを作成してもらい、そのリストに従って各債権者に債務整理の手続きの受任をしている通知を送ります。この通知が届いた時点から各債権者は依頼人に対し直接取り立てをすることができなくなります。 |
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個人再生調書作成 | 司法書士の指示に従って個人再生調書を作成していただきます。また、司法書士の指示に従って必要書類を集めていただきます。 |
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申立書作成 | 依頼人が作成した個人再生調書と依頼人に集めていただいた必要書類から司法書士が個人再生の申立書を作成いたします。 |
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申し立て | 司法書士が作成した申立書一式で管轄の地方裁判所に個人再生の申立てをいたします。この際には司法書士が同行することになります。 |
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再生計画案提出 | その後、司法書士が作成した再生計画案を管轄の裁判所に提出していただきます。なお、この際にも司法書士が同行することになります。 |
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債務返済 | 再生計画案が裁判所に認可されれば、その計画案にもとづいて債務を返済していくことになります。 |
個人再生の費用について
個人再生に関する手続きの費用は、一般的例で、総額40万円程度になります。
(上記の費用には、受任通知の発送、利息の引き直し、個人再生申立書、再生計画書の作成、個人再生の申し立てに必要な書類の指示の手続きまでを含みます。)
なお、司法書士報酬には消費税がかかります。
個人再生の費用のお支払に関しては、5万円程度を着手金としていただき、費用の残金については分割でお支払いただくことも可能ですので、当事務所宛てに直接問い合わせてみてください。
上記の費用計算は、あくまでも1つの例として記載させていただきましたので、実際の内容によっては報酬額が異なってくることがあります。
メールまたはお電話で細かい内容をお伝えしていただければ、ある程度正確な費用の見積もりを算出することができます。よろしくお願いいたします。